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68歳の大冒険 ~人生初めての海外~

「いつか留学してみたい」
そんな思いはずっとあったものの、なかなか一歩を踏み出せずにいた朝子さん。
今回、ブリスベン留学の話をしたところ、返ってきたのは意外にも即答の
「行きたい!」でした。

とはいえ、68歳で初めての海外。
出発が近づけば、やっぱり不安も出てきます。
私の英語力で大丈夫か。現地でちゃんと生活できるのか。初めての海外が一体どんな毎日になるのか。行ったことがないのだから、いくら想像しても分かりません。

そんな朝子さんの最初の“小さな冒険”は、ブリスベンに到着した空港から始まりました。
ノートを開いて、一生懸命確認しながら、
“Can I have a flat white?”
初めて自分の英語でコーヒーを注文。
無事に注文できた時の「できた!」という嬉しそうな顔。コーヒーもおいしさ倍増!


最初の頃は、自分から話しかけることにも恥ずかしさがあり、少し遠慮がちだった朝子さん。それでも、単語やジェスチャーを使いながら少しずつ自分から話しかけるようになりました。
聞き取るのはまだまだ大変。それでも毎日一生懸命勉強して、その日にあったことや見たものを「伝えたい」と英語にしようとします。

語学学校では、授業が終わっても最後まで残って先生に質問。
家に帰ってからも日記を書き、遅くまで勉強していました。
そして何より大きかったのが、一緒に学んだクラスメイトとの出会いです。
年齢の離れた若いクラスメイトたちと一緒に授業を受け、お互いに「そこはこう言うんだよ」と英語の間違いを指摘し合う。そんな毎日の中で、朝子さんの中に「間違ってもいいんだ」という気持ちが生まれ、それが少しずつ自信へと変わっていきました。


もちろん、毎日が順調だったわけではありません。
Google Mapsの使い方を一生懸命覚えながら移動していたものの、バス停を乗り過ごしてしまったことも。それも含めて、初めての土地では何もかもが“大冒険”です。

ところが2週目に入る頃には、朝子さんの行動がどんどん変わっていきました。
ある日、大聖堂で行われる英会話クラスへ行くために、
「今日は一人で行ってくる。友達と待ち合わせしてるの」
と朝子さん。

前日には一生懸命バスと地図を見ながら行き方を確認していました。
そして当日、
「ちゃんと着いたよ!」
と写真が送られてきました。
そこでは新しく出会った人と会話をして、その様子まで写真付きで教えてくれました。

それだけではありません。
友達とパンケーキを食べに行ったり、一人で美術館へ出かけたり、郵便局へ行って日本にいるお孫さんへポストカードを送ったり。
最初は空港でノートを見ながらコーヒーを注文するだけでもドキドキしていた朝子さんが、気づけば自分で行きたい場所を見つけ、一人であちこちへ出かけるようになっていました。

2週目の朝子さんは、本当にイキイキしていました。
いろいろなものに興味を持ち、自分から動いて、新しい人と出会って、英語を使ってみる。
その時の朝子さんの笑顔は、今でも忘れられません。
そして、あっという間に迎えた最終日。
朝子さんの口から出てきた言葉に、私も驚きました。
「もう1週間いたい」

初めての海外に不安を感じていた出発前から、わずか2週間。
留学を迷っている方へのメッセージを聞くと、朝子さんはこう答えてくれました。
「行ってみると考え変わります。悩んでいるなら、まずは申し込んでみる。申し込んだら、悩んでいる暇もないくらい忙しい日々が始まって、行くしかなくなります」と。

68歳、初めての海外。
英語が完璧になったから楽しめたわけではありません。
聞き取れないことも、言いたいことが出てこないことも、バスを乗り過ごすことだってありました。
それでも、一つ「できた」が増えるたびに、次の「やってみたい」が生まれていく。
そんな朝子さんの2週間は、まさに「あさこの大冒険」でした。

「英語がもう少しできるようになってから」
「もう少し自信がついてから」
そう思っていても、きっと不安がすべてなくなる日はありません。
実際、現地に行ってからだって分からないことや不安なことはたくさんあります。
でも朝子さんは、そのたびに一つずつ「やってみる」を重ねていきました。
不安がなくなったから行動できたのではなく、行動したから「できた」が増えていった。
そして2週間後、その口から出てきたのが「もう1週間いたい」 という言葉でした。

朝子さんも、引率つきだからこそ、一歩が踏み出せたと思います。

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